個性というものは、髪を金色に染る か、青いアイシャドーをつけるとか そんなものではないのです。
超一流の国際展のレセプションに出 してみると、実に面白いことに気づ ます。芸術家っぼい変わった服装を している人は、まず出品している作 ではありません。そうなりたい二番 の連中や「とりまき」です。本人た ちはグレーのスーツにノー・ネクタ とか実に地味なものです。びっくり るような格好で歩いている芸術家が いたら、まず間違いなく作品は大し ことありません。本物の芸術家とい のは、夢中になってものをつくって いるので、他人から見て服装が個性 かどうかなどということには全く関 がないのです。
 ギリシャ、エジプトの美術を思い してください。個性的に描こうなど は決して思っていない作品です。だ からこそ、その時代という強い個性 結果的に浮かび上がっているのです 大切なのは普通の人が見て、なんで 今までこれがなかったのだろうと思 るような、(  ①  )の独創性 いうことです。良いものは全てずっ と前からあってもおかしくないと思 れるような、そんな普通で確かなも です。今まで気づかなかった、それ に気づくということ、その新鮮な切 口こそ求められているものなのです
(千住博「絵を描く悦び」による)
・レセプション:招待会。

問1 (  ①  )に入る適当な語はどれか。
1 格好
2 個性
3 切り口
4 作品

問2 筆者が考える個性的な作品とはどの うなものか。
1 今までになかった奇抜な作品です。
2 本人の性格や特徴が浮かび上がって るような作品です。
3 どこにでもあるようなものを、今ま にない観点からとらえた作品です。
4 個性的に描こうなどと思わないで自 に描いた、普通で確かな作品です。