私は杉や檜などの植えられた純林は きではない。純林には限られた種類 鳥や昆虫しか棲んでいない。樹木の 下生えの植物も貧しい。純林には、 こに植えられている木だけを食べる 虫がやって来る。その昆虫を食べる 動物が少ないので大発生し、農薬で 治するという方法が取られる。そう う意味で、純林は生きものを排除し た林であり、雑木林のような生命が じられない。

人間が育つ環境も純林型と雑木林型 分かれるのではないか、というと奇 に感じられるかもしれない。しかし 、例えば現代の日本の教育環境など 、( ア )型と言えまいか。そこでは一つの 準的規格にはめ込む教育が主として なわれている。それが整然と一種類 の木を植えて育てる( イ )のように、私の目には映るのであ 。

といえば、①私が望んでいる教育環 がどんなものか、およそ察してもら るだろう。植物に例えて言えば、ス ミレ的資質をもった子供はスミレと て育ち、大木的資質をもった子供は 木として育つような環境が望ましい 、と私は考えている。それは種々雑 な動植物が各々の住処を得て、それ れ精一杯生きている( ウ )林の姿に似ている。そして純林の 育ではなく、雑木林の教育の中でこ 、個性的な人間が育ち、彼らによっ て独創的な仕事が生まれるものだと は信じて疑わないのである。
(河合雅雄「学問への冒険」より)
問1 ア〜ウに入る語として適当な組み合 せのものはどれか。
1 ア:雑木 イ:純林 ウ:雑木
2 ア:純林 イ:純林 ウ:雑木
3 ア:純林 イ:雑木 ウ:雑木
4 ア:雑木 イ:純林 ウ:純林
問2 ①「私が望んでいる教育環境がどん ものか」とあるが、筆者が臨む教育 境と一致しているのはどれか。
1 優秀な子供を集めて、彼らのために 才教育を行う。
2 能力に応じてクラス分けをして、能 に応じた進度で授業を行う。
3 能力も個性も色々な学生が集まった で、それぞれの素質に応じた教育を う。
4 教師と学生が 1 対 1 で応対し、ひとりひとりのための個 授業を行う。