東大・苅谷剛彦享受グループの調査 2002 年)によると、①この12年間で子ども たちの学力は全般的に大きく低下し いることが確認できるという。長文 解や論述能力の低下は、従来から指 摘されているとおりだが、それに加 てもっと深刻な問題が生じていると う。

共通一次試験で五択方式の選択問題 飛躍的に普及したとき、予め用意さ た答えの中からの選択という試験の スタイルは、子供の思考力や独創性 害するとの批判が上がったが、現状 更に悲惨だという。この調査による と、選択問題で答えを何も選ばなか た「無答」率が、1989 年調査と比較して、どの問題でも増 している。当てずっぽうでもいいか 答えを書く生徒が減り、何も書かな い生徒が増えたのである。これは知 の不足ばかりでなく、選択肢の中か の選択決定能力さえも失った子供の 増加を意味する。五択などというの 、問題を一瞥して、ある程度直感を かせれば、二つの選択肢くらいには 絞れるものが多い(もちろん、絞ら た二択から正答を選ぶには考える力 要求されるが)。②そういう知覚は 知識というより生活感覚に属してい と私は思うが、その低下は知識の量 減少よりも遙かに深刻ではないだろ うか。
(長山靖生「若者はなぜ決められな のか」より)
・当てずっぽう:根拠のないまま、 当に直感で選択すること。

問1 ①「この12年間で子どもたちの学力は 全般的に大きく低下していることが 認できる」とあるが、筆者は何が最 の原因だと考えているか。
1 長文読解や論述能力の低下
2 五択方式の選択問題の普及
3 思考力や独創性の喪失
4 選択決定能力の喪失
問2 ②「そういう知覚」とあるが、何を しているか。
1 二択から一つを選ぶ感覚
2 五択から一つを選ぶ感覚
3 五択から選択肢を二つに絞る感覚
4 生活感覚