ある人が仕事の途中で早退した。翌 、同僚が出社してきたその人に尋ね 。
A: 「昨日、なんで帰ったの?」
B: 「①電車で。」
これはコミュニケーション不調のか り深刻な事例である。確かに、「ど して帰ったの?」という問いが「帰 宅の手段」にかかわる問いであるの 、「帰宅の理由」にかかわる問いで るのかは、さしあたりこの一問一答 だけから判断することはできない。 かし、私たちは日常会話においては このような判断をわけなくクリアし ている。
(  ②  )私たちが誤答を免れているのか いうと、「昨日、なんで帰ったの? という問いかけに対して、私たちは 常に「この人は『こう訊きくことに って何を訊きたいのか?』」という 問いについての問い」を、返答に先 だって自分に向けているからである だからもし、このとき、たまたま職 の人びとが「帰宅の手段としてはど のような交通手段が適切であるか」 いうような議論を交わしている最中 あったとすれば、「電車で」が期待 された正解のひとつである可能性も 除できない。
(多田道太郎「ものまねーしぐさの 本文化ー」による)
問1 ①「電車で。」とBさんは答えてい が、どう答えるべきだったのか。
1 あいにく残業があってね。
2 気分がすぐれなくてね。
3 このごろ体調がよくなくてね。
4 最近、仕事が忙しくてね。
問2 ( ② )にはどの語が入るか。
1 どうして
2 いったい
3 要するに
4 なぜなら