現代人は、いつまでに何をする、何 後までに何をすると、時間を先取り ることで人生を生きている。人生と は、すなわち予定なのである。予定 立てたのは自分なのに、時間がない 不平を言う。しかし、全く当たり前 のことなのだが、人生の時間は有限 ある。いつも人はそれを忘れて、( )他人事みたいに自分の人生を生き ている。時間は前方へ流れるものと 覚しているからである。人生は、生 ら死へと向かうもの。死は今ではな い先のもの。しかしこれは間違いで る。死は先にあるものでなく、今こ にあるものだ。こういう当たり前の 事実に気がつくと、時間は前方へ流 るのをやめる。存在しているのは今 けとわかる。一瞬一瞬が永遠なので ある。有限のはずの人生に、なぜか 遠が実現している。永遠の今は、完 に自分のものである。人生は自分の ものである。(2)この当たり前に 、生きながらに死ななければ気づか い。
(池田晶子『四一歳からの哲学』よ )
問1 (1)「他人事みたいに自分の人生 生きている」とあるが、どのように きていると筆者は考えているか。
1 他人のことを考えないで、自分のこ だけ考えて生きている。
2 死は先のものと考えて、予定を立て 予定に追われる生活をしている。
3 人生は短いと考え、忙しく、いつも 間に追われる生活をしている。
4 時間が静止した、永遠の現在のなか 生きている。
問2 (2)「この当たり前には、生きな ら死ななければ気づかない。」とあ が、「生きながらに死ぬ」とはどう いうことか。
1 一生懸命生きている人は、死につい 考えることはないこと。
2 人生は死に向かって進んでいると考 、死に備えること。
3 死は先にあるものでなく、今、この 間にもあると自覚すること。
4 生きてはいるが、実際は死んでいる と同じ状態であること。