増える共同浴場付きマンション 銭 気分でご近所づきあい

銭湯が年々減少する一方で、共同で 用する温泉や大浴場を併設したマン ョンが増え続けている。広々とした 湯船で足を伸ばし、裸のつきあいが きる“銭湯”は日本人の風呂好き文 を象徴する存在。マンション内の共 同浴場が入居者間のコミュニケーシ ンに一役買っている。(村島有紀)


 ◆ガス、水道代節約

 神奈川県真鶴町のリゾートマンシ ン。都内に勤める会社員夫妻は露天 呂付きの共同大浴場(温泉)が決め 手となり、購入を決めた。

 妻(37)は「露天風呂でゆっく つかり、『幸せ』とつくづく感じま 。名前も知らない入居者の方と話す こともあり、気楽に知り合いが増え 」。夫(44)も「子供のころに住 でいた社宅の共同浴場のよう。父親 が同僚たちと話していたあの独特の 囲気を思いだしました」と懐かしそ だ。

 共同浴場付きマンションは、リゾ ト地に限らず都心でも人気だ。総合 所(東京都港区)は平成12年以降 、首都圏と関西圏で23件の共同浴 付きファミリーマンションを手がけ 。担当者によると、共同浴場の満足 度は総じて高いという。キッズルー やシアタールームといったほかの共 施設と比べ、世代を問わずに利用さ れ、特別なイベントがなくても老若 女が集い、コミュニケーションが図 るからだ。

 管理会社の総合ハウジングサービ によると、約600戸のマンション 併設するサイズの共同浴場の場合、 維持費用(水道代除く)は年間約1 万~1500万円。1戸当たりの負 は月2千円程度となり、管理費全体 での割高感はないという。

 鹿島建設も19年と21年、千葉 佐倉市のニュータウン「ユーカリが 」に2つの共同浴場付きマンション を建設した。週5回、午後4時から 0時半まで利用でき、仲良くなった 学生と年配者が誘い合って浴場を利 用するケースもあるという。ニュー ウン開発を手掛けた山万の細川大介 街づくり推進室課長は「年配者や小 さな子供のいる家庭に好評で、毎回 用する人もいる。自宅の風呂を使わ いので『ガス・水道代、掃除の手間 がかからず、助かる』という人もい す」とメリットを強調する。

 ◆子供のしつけに一役

 総合地所が開発・分譲したマンシ ン「ルネ・エアズヒル」(神奈川県 老名市)。7年前に完成した593 世帯の大規模マンションで、5棟の 居棟の中心に共有施設「エアズハウ 」が建ち、中には体育館にキッズル ームなどが入る。2階にある大小2 の共同浴場は、地下1500メート からの温泉。多いときは1日250 ~280人が利用し、開場前には行 ができるほどの人気ぶりだ。マナー 悪い子供を注意するお年寄りの姿も 見られる。

 8歳と5歳の孫がいる広嶋俊英( ゅんえい)管理組合理事長(55) 「入居当初は風呂の入り方について 、議論がありました。そのうち、自 と迷惑をかけない入り方を保護者が にするようになった。他人の子供は 注意しにくいが、それでも多くの人 ふれあうことでいろいろなことが身 付くのでは」と話している。

 ■多様化進む施設 

 厚生労働省の統計資料では、公衆 場は「一般公衆浴場」と「その他」 分かれる。一般公衆浴場は、入浴料 金が都道府県で決められた施設(銭 )。厚労省によると、昨年3月末現 の全国の公衆浴場数は約2万850 0軒で、そのうち「一般」は約57 0軒で約2割。昭和45年には87 を銭湯が占めていただけに減少が著 しい。

 一方で、駐車場を完備した健康ラ ドや温泉温浴施設、スポーツクラブ 浴場などの「その他」は増加が目立 つ。マンション併設型もそれで、入 形態の多様化が進んでいる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101023-00000101-san-soci